幾度めかの黄昏の時代が始まり、再び何度目かの慎ましやかな生活が取り戻されつつある世界の、とある一地方。そこには、国家のような統治された組織は無いものの、人々が手を取り合って暮らしていた。

その中に、人里離れたアトリエで薬を作って生計を立てている、一人の女の子がいた。
彼女の名前はアーシャ。

以前は祖父と妹と三人で暮らしていたが、数年前に祖父が他界した後、妹も行方不明となってしまい、今はペットのうしがいるだけで、天涯孤独の身となっている。
妹がいなくなってからしばらくは失意の底にいたが、祖父の頃から取引している旅の商人の協力もあり、新たな生きがいを見つけ、立ち直ることに成功するのだった。
そして、哀しみの記憶も少しずつ薄れ始めていたころ。

いつものように薬の材料を探して、アトリエ近くの遺跡に出掛けたアーシャは、そこで、いなくなったはずの妹の姿を見かけることになる。
妹が生きていて、世界のどこかにいることを知ったアーシャは、すぐさま妹を探すために旅立つことを決意する。手がかりなんて何もないし、何をすればいいかもわからない。

ただ、

この世界のどこかで、妹と再会できることだけを信じて。